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はるのかぜ

第10章 積み重なった悪事

ハルはそのまま職員室へ行き、遠藤先生に声をかけました。

「遠藤先生!」

「あっ、ちょっとこっちに来てもらえる?」

そう言って遠藤先生に誘導された先は校長室でした。中には中村先生と3年の生徒指導を担当している志賀敦啓(あつひろ)先生が居ました。ハルも何となく状況を察しました。最初に口を開いたのは中村先生でした。

「内海、今日はなんでお前をここに呼んだかわかるか?」

「えっ、何でですか?」

何となく状況がわかっていたハルでしたが、あまりにも張り積めた空気のため、断定した返事はできずにいました。志賀先生が続けます。

「最近、放送室で異変が多発しているんだ!チャイムが変な時間に鳴ったり、放送開始の音が連発したり。そして、今日は大音響で音楽が鳴った!」

「志賀先生が言ったことは機械の故障で起きるようなことじゃないでしょ。しかもね、異変が起きる前の放送当番を確認すると全部内海さんだったのよ。」

遠藤先生が言いました。

「内海、どうなんだ!」

中村先生が問いただします。一呼吸置いて、ハルは弱々しく言いました。

「はい、やったのは、私です。すいませんでした。」

「内海!お前がやった事はイタズラでは済まされることじゃないぞ!全校生徒に迷惑がかかったんだぞ!」

中村先生は声に力を入れて言いました。

「はい、すいません。」

ハルはうつむいたまま、弱々しい声で言いました。中村先生は続けます。

「自分がやった事の重大さをしっかり自覚してほしい!」

「はい。」

「遠藤先生。」

中村先生が遠藤先生に声をかけました。

「内海さん、あなたには放送部の活動を2週間休止の謹慎処分を言い渡します。」

「はい。」

すると、中村先生が再び、力を込めて言いました。

「内海!この2週間、しっかりと反省する様に!そして、2度とこんなことはしないように!」

「はい、すいません。」

ハルの声はどんどん弱くなります。

「じゃあ、今日はもう帰ってよし!」

中村先生がそう言うと、ハルは頭を下げて校長室を出ました。

ハルが校長室を去った直後、中村先生と志賀先生はこんなやり取りをしていました。

「志賀先生、内海の親には今回の件、どうしますか?」

「私から連絡してみましょう。」

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