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森の中

第4章 4 目的

 全身の倦怠感とくすぶっていたものが全て燃やし尽くされたような矛盾した身体と心を男に支えられ瑠美は小屋へ戻った。
 少し休憩をして来週は来ないことを告げ、小屋を後にした。

 帰り際、今日も男は瑠美をじっと見つめる。冷めたような無表情の目に少しだけ悲哀を感じる。瑠美に何か言いたいのか、瑠美を不審に思っているのか――その両方か。
わからない。

しかし例えどう思われていようと拒まれることなく会ってくれることに感謝していた。会うたびに身体を重ねはするが男が自分に欲情しているとも、性処理にも思えなかった。

不本意ではあるが瑠美には都合がよいのかもしれない。快感という副産物に複雑な思いを抱え男と会う目的を終えた瑠美は、次の目的に向かって歩き出した。
小屋を振り返らずに。

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