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Melty Life

第2章 初デート



 …──いっそ殺してしまえれば良いのに!法律は狂ってる……私達のような親の事情なんて、これっぽっちも考えないんだから……!

 …──ああ、早く大学まで卒業させて、金になる家にでも遣ってしまいたい。



 だったら、何故、産んだの。

 咲穂のように、彼らの好みに合う人間なら、自分も慈しまれていた?


 気も遠くなるような痛みの中で、あかりも法を呪っていた。いっそ殺された方が楽なんじゃないか。


 両親は気が済むまで娘を殴ると、ロープを解いて、十二月の零時近い庭に放り出した。部屋着を拾おうとしたあかりの手を平手で打って、全裸のまま。


 寒い。どうして。どうして。


 鍵のかかった扉を叩く気にもなれなかった。泣き言も恨み言も出なかった。物心ついた頃から、よく外には出されていた。生きていることを呪われてもいた。

 真冬に庭に放り出されたくらいで、今更、感じるものもなかったのかも知れない。どうせ味方なんていない。親に消費される人生でも、殺されない分、世間はきっとあかりを幸福者と見なす。実際、その通りだと思う。



 …──ちょっと貴女、どうしたの!!


 にわかに視界に閃光が差した。ガソリンの匂いがあかりを襲った。膝を抱えたまま光を目で追いかけると、塀の向こうに、タクシーが停まっているのが見えた。乗っていたのは一人の女。

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