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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第2章 聞こえちゃう

朝食の時間はとても静かだ。



広いダイニングルームには大きなテーブルがあり、そこには人数分の朝食が用意されている。



旦那さまはお仕事で朝が早く、すでに食べ終えてしまっていない。



この時間に朝食をとるのは、あたしと中学生の弟、悠樹くんだけ。



志桜さんは夜遅くまで仕事をしていて朝はまだいない。



それだけが救いだ。



彼と顔を合わせると、あたしは委縮してしまう。



けれど、悠樹くんと二人の食事も会話がないので気まずい。



こんな毎日が卒業まで続くんだ。



嫌になる。



あたしは心に決めていることがある。



高校を卒業したら、絶対にこの家を出ていってやるんだ。



それまで、我慢しなきゃ。



時々、おばあちゃんのことを思い出す。



温かくて、優しいおばあちゃん。



おばあちゃんの死と、この家の気まずさと、志桜さんのこと。



あたしの心はバラバラになりそうだった。







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