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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第10章 無理矢理

その日の放課後に晃くんを呼び出した。



あたしたちがいつもデートをしていた公園だ。



人のいる明るい場所でなら彼は何もできないだろうと思ったから。



「お願い。あたしと別れてください」



そう言うと、晃くんは呆気にとられたような顔をした。



そして彼は笑う。



「また、そんな冗談を…」



「冗談じゃないの。あたし、晃くんとはこれ以上付き合えない。その…毎日、するのも…イヤなの」



晃くんは残念そうな顔でため息をついた。



「俺よりお兄さんの方がいいんだ?」



そう言われて、顔が熱くなる。



言い訳なんかできない。



あたしは志桜さんに溺れてしまっている。



彼とじゃないと、できない。したくない。



「ごめんなさい。勝手なことを言ってるのはわかってる。最低な女だって自分でも思う。だけど、これ以上あなたとは付き合えない」



ドキドキしながら晃くんを見ると、彼はとても困った顔をしていた。



「残念だなあ。まさかお兄さんに負けるなんて思わなかった。わかったよ。優依ちゃんの気持ちが俺にないのにこれ以上迫っても悪いしね」



「え…」



晃くんはいつものような笑顔になった。



「じゃあ、今夜だけ一緒にいてくれる?」



「え?」



「本当は今日、優依ちゃんとデートするつもりだったんだ。最後のデートになるけど、メシ食いに行こう」



ご飯を食べるだけならいいかな。



この時のあたしは、晃くんへの罪滅ぼしの気持ちもあってか、最後のデートを了承した。



だけど、思いもよらないことになった。




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