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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第5章 怖いのに…

お兄ちゃん…



優依、お兄ちゃんのことが大好きだよ。



だから、泣かないで。



お兄ちゃん…



いかないで…



お兄ちゃん…



優依がいるから。



優依がお嫁さんになってあげる。



だから…



生きて。



………………………




誰だろう?あれは…



白い服を着た人が、泣いてる。



泣かないで…



あたしがそばにいる。



あたしがあなたのそばにいるから。






「お、にぃ…ちゃ…」



「優依」



「え…」



薄っすらと目を開けると、志桜さんがあたしの顔を覗き込んでいた。



彼は服を着ている。



でも、あたしは裸のままベッドに横たわっている。



「あ…志桜さ…」



体に力が入らなくて、あたしはぼんやりと彼を見つめた。



「水、飲む?水分が足りなくなってると思うよ」



そういえば、喉がカラカラだ。



あたし、どうしたんだっけ…?



ダメだ。頭がぼうっとしていて、よく思い出せない。



でも、すごく気持ちよかった感覚だけは体に残っている。



あたし、どうかしている。



「はい。自分で飲める?」



彼はペットボトルの蓋を開けて、あたしに差し出した。



「ありがとうございます」



あたしはシーツで胸を隠し、体を起こして水を受けとった。



手が震える。






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