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美しい狼~その牙で骨まで食べ尽くされたい~

第6章 月夜の狼

ある晩
夜中に
急に目が覚めて

お水を飲もうと
長い廊下を歩いていると

要様の部屋から
灯りが漏れてることに気づきました

電灯の灯りにしては暗すぎる……

あっ!

そう、今夜は満月...
漏れているのは月明かり

夜風は冷たい季節
風邪を引かないように

お布団をちゃんと被っているか
確認しようとしたところ

出窓に腰掛け
月明かりを背に

寂しげな様子の
要様がいらっしゃいました

その姿は
とても儚げで

要様が消えてしまいそうに思われて

胸の奥が
きゅぅと締め付けられるような
切なさが込み上げていました

私は
考えるよりも先に
身体が動いて

要様をぎゅっと
背中から
抱きしめてしまいました。

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