護(まも)る
第1章 序章
けたたましくサイレンを鳴らしていた何十台もの武装された警察車両が一斉に音を消した。闇の中がパトライトの怪しげな赤い光に染まる。
警察車両は住宅地の中の要塞と呼ばれる水橋《みずばし》組の前に静かに止まった。噂によると、武家屋敷のような古風な佇まいのそこは部外者の襲来に備えられているらしい。その強固な門構えの前に、武装した特殊部隊警官たちが透明樹脂の盾を構え、塀を取り囲んでいた。
重厚な門扉がゆっくりと開いた。
樹脂の後ろに構えた何十もの拳銃の銃口が一斉に上がった。
門扉には血糊を浴びたパジャマのままの少女の姿があった。その手には血糊のついた鞘のない短刀を手にしている。
「水橋うららと言います。私、私……」
うららは膝から崩れ落ちた。若い制服の警官が手を挙げて駆け寄る。
警察車両は住宅地の中の要塞と呼ばれる水橋《みずばし》組の前に静かに止まった。噂によると、武家屋敷のような古風な佇まいのそこは部外者の襲来に備えられているらしい。その強固な門構えの前に、武装した特殊部隊警官たちが透明樹脂の盾を構え、塀を取り囲んでいた。
重厚な門扉がゆっくりと開いた。
樹脂の後ろに構えた何十もの拳銃の銃口が一斉に上がった。
門扉には血糊を浴びたパジャマのままの少女の姿があった。その手には血糊のついた鞘のない短刀を手にしている。
「水橋うららと言います。私、私……」
うららは膝から崩れ落ちた。若い制服の警官が手を挙げて駆け寄る。