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妄想小説

第3章 2人きりの残業


『おい、そっち終わったか?』


「ちょっとわかんないとこがあって…ほんとすみません」


21時を回り、オフィスには加奈子と主任しかいない。


加奈子がデータを間違えて入力していたことに気付いたのは定時30分前のことで、1人で必死にやっていたのを見兼ねて主任が手伝ってくれていた。


無愛想だが落ち着いた雰囲気で優しい主任に、加奈子は好意を寄せていたが、それゆえに申し訳なくて肩身が狭い。


『なに、どこがわかんないの』


パソコンに向かう加奈子の後ろから机に手をつき、主任は画面を覗き込む。

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