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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第6章 初夏の体操着



ジリジリと初夏の太陽が照りつける朝、校舎の門をくぐり、サラとミナと教室に入った。



一番に目が行くのは澄くんの机。



……まだ登校してない。



早く見たい。姿を見るだけで、ちょっと嬉しいから。



席についてなんとなく目を向けた窓の外。


……澄くんだ。


それに気づいた瞬間、胸の奥の温度があがる。


しばらくして教室に入ってきた彼は相変わらず眠たそうで、そんな気だるげな姿にドキドキしはじめる。



「色葉ー、なにしてんの? 早く着替え行こー!」



そうだ。
今日は一限体育で、更衣室が混むからHR前に着替えないとって話してたんだった。



慌てて体操着を抱え、手招きするサラとミナに駆け寄る途中



「きゃっ」


何かに引っかかって体操着袋が床に落っこちた。


何に引っかかったんだろうと、不思議に思いながら袋の転がった後ろを振り向くと


席についていた澄くんが床に身を乗り出してそれを拾い上げていた。


「はい」


差し出された体操着袋。
薄茶色の瞳と3日ぶりに目が合う。


どきん、どきんと鼓動が早鐘を打つ。


何秒だろう。あたし見惚れちゃってた。


……朝からかっこよすぎるんだもん。


「姫路さん?」


澄くんに小首を傾げながら体操着袋を差し出されて、ハッとした。



「す……、あ、小笠原くん、ありがとう」



ドキドキしながら受け取ると、


あたしには色っぽく見えてしまう指先があたしの指に触れた。



「……っ」



たったそれだけの触れ合いのあと、視線も言葉も交じることはなく。



「色葉ー?」

「あ、今いくね」



澄くんと教室で過ごす一日は、
ドキドキして、なぜか切なくて、


いつも触れたいって思ってる。


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