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星の君と氷の私

第9章 9

「…ごめん…じゃんけんで勝ったらこんなことに…っ…」

私が言い終わらないうちに抱きしめてくれた駿

駿の優しい香りが私を包み込んで、それでまた泣いちゃって

「雫が守ろうとしてくれたことわかってた。」

え…気づいてたんだ…

私の必死な抵抗に

その抵抗はちっぽけなもので終わったけど

「白雪姫に決まった時、昔のこと思い出さなかったんだ。むしろ、どんな物語になるんだろうってわくわくしてた」

「う、うん…」

「それにいつまでも前に進めなきゃ良くないって思ったし、だから雫がそんなに自分を責めないでいいよ」

"それが本当に駿の本音?"って聞こうとしたら
他の部活の人たちの声が廊下からして

「ほら、帰ろ?送ってくから。」

駿に言われて私たちは帰ることにした

帰り道、ちょっとだけ気まずくなってしまった私たち

でも、それでも駿の本音を知りたいから

なかなか切り出せなくて、気づいたら家の前まで来てて

「またあしたな?」

って駿が帰ろうとするから、私は「駿!」って呼び止めたんだ

「どした?」

ゆっくりと振り返って私を見る駿

このまま気まずくなんかなりたくないから

聞かない方がいいかもしれないけど…本音を知りたいから

「駿の本音が聞きたい…」

思った以上に声が震えていて、駿の顔が見れなかった

嫌われたらどうしよう?

なんて言ったあとから思ったってもう遅くて

なにも駿からは言わないからこの沈黙が怖くて…

謝って家の中に入ろうかなって考えていたら駿がまた抱きついてきた

「え、っと…」

「…本当は怖い…」

今まで聞いたことない駿の震えた小さな声

「え…」

「フラッシュバックしそうで怖い」

私はただ頭を撫でてあげることしかできなくて

「大丈夫、私が守るから」

って本心を口に出したけど…全然心強くなんかないなって思った

駿が落ち着くまでずっとこうすることしか出来なかった

「…ごめん、気まずくさせて…。雫のおかげで安心した」

そう言ってくれてよかった

「私もごめん…」

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