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第2章 村に迫る危機

 アウィーコート王国のはずれに、小さな村がありました。
 ウジミスという村です。
 畑ばかりが広がっていて、村の真ん中には教会があります。その他には、人の暮らす家がぽつぽつとあるくらい。
 いつもは静かな村で、話題になることといえば、誰それの家の子供が転んで膝を擦りむいたとか、どこそこの牛が子供を産んだとかいったことくらいのものです。
 そんな穏やかな村で、いつにない騒ぎが起きていました。
 喧嘩です。
 教会の前で、二人の男が怒鳴りあっています。
「早く逃げるしかねえ!」
 太っちょの男がが叫ぶと、
「いいや、村から出ることはできねえ!」
 と背の高い男が言い返します。
 鼻から息を吹いてお互いに譲らない二人を、ほかの村人は遠巻きに見ています。
「村から出ねえで、みすみす殺されろとでも言うだか!」
「そんならお前は、村を捨てて、畑も家も捨てて、野垂れ死にでもしろってのか!」
「なにを、このひょろ長が!」
「そっちこそ、この太っちょが!」
 とうとうふたりは胸ぐらを掴み合いました。
 このままではどちらかが怪我をしてしまいます。まわりに村人たちは心配そうに口に手を当てて見守っていますが、止めに入る者は一人もいません。
「この野郎!」
 喧嘩をしている二人のうち、背の高い方がとうとう拳を振りあげました。
 アッと村人たちは声をあげました。が、その瞬間。
 どこからか石ころが飛んできて、振り上げた拳に当たりました。
「痛えな! 誰だ!」
 背の高い男は、手を抑えながらあたりを見まわします。

「喧嘩は良くないよ。疲れるからね」

 どこからか、涼し気な声が聞こえました。その場にいたみんなは、いっせいに声のした方を振り向きました。

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