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❇️片暉の残照❇️

第3章 不思議な娘


「テイス様!お待たせいたしました」


それからしばらくしてニコルがブランケットと共に図鑑を手に戻ってきた。


「やっぱり、図鑑が届いていたのね!では、さっきの方が――――…行商人?所作が綺麗な方もいらっしゃるのね」


ニコルから図鑑を受けとるとバラ園の中のベンチに座ると広げて読み始める。



「テイス様は本当に植物がお好きですね」


「ええ、母が詳しかったので私も興味が…でも、食べられる植物の方が好きです」


「テイス様ったら――――…」



ニコルは呆れた顔で私を見たが、その顔は楽しそうでもあり私は嬉しくなる。



「さあ、そろそろお部屋に戻られた方がよろしいのでは?」



ハッと、太陽の昇る影を見る。



勉強の時間が迫っていた事に気がつき私は慌てて立ち上がり、屋敷へと向かった。


その時…

すでに行商人の馬車はいなかった――――…。




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