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奇跡を信じて

第16章 誠の嫉妬


 大地が田村のサインボールを持って、含み笑いをしていたため、
 「大地君、そのボールどうしたの?」と誠が尋ねた。
 「ジャガーズのタムのサインボールだよ」

 「いいな、僕もほしいな。ちょっと見せてよ」

 「だめ、僕の宝物だから」と大地は断った。

 「ケチ!ママにチクるから」と誠が言ったため、

 「いいよ」と大地は強気で言ったのだ。


   (翌日、病室での誠と美代子)

 「ママ、僕もサインボールがほしいよ」と誠が言った。
 「誰のサインボールがほしいの?」と美代子が尋ねると、

 「ジャガーズの選手のボールがほしいの。大地君が持っているんだよ」

 「でも、どうして大地君がサインボールを持っているの?」

 「知らないよ」と誠は少し涙目で言った。


 その翌日、美代子がひとみに、
「村山さん、大地君がジャガーズの選手のサインボールをもらったと誠から聞いたのですが、本当ですか?」と尋ねた。

「はい、実は先日、ジャガーズの田村選手が来て下さって、大地にサインボールを頂きました」

「そうなのですか?今度、田村選手を見かけたら、誠にもサインボールをお願いできないかしら?」と美代子が聞くと、

「田村選手が、来られたら言えるかもしれませんが、次回、いつ来られるのか分からないので、お約束はできないと思うのですが....」

「そうよね、田村選手もお忙しい人ですものね。でも、どうしてこんな所にわざわざ来るのかしら? 何かあると思わない?」と美代子が言ったため、

「私にはちょっと」とひとみは言葉を濁した。


そして、その数日後、美代子は偶然、病院のロビーでジャガーズの田村を見かけることになるのだ。その時に美代子が、初めてその場所で幸二に声をかけた。

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