
奇跡を信じて
第5章 大地の幼稚園にて
ひとみが幼稚園の前にある駐車場へ車を停めると、すぐ近くに園長を見つけたため、
「こんにちは、園長先生。いつも大地がお世話になっております。今、大地はどちらに居りますでしょうか?」とひとみが聞くと、
「医務室に、藤井先生とおられますよ。怪我もたいしたことがなくて安心しました」と園長が言った。
「すみません、ご心配をかけまして」とひとみが言って、医務室へ入った。
藤井はすでに大地の膝に消毒液を塗って、バンドエイドを貼ってくれていた。
それに気付いたひとみは、藤井に礼を言った後、
「大地、心配したじゃないの。大丈夫?」と聞いた。
「大丈夫だよ。僕、強いから泣かなかったよ」と大地は自慢げに言った。
「ほんとに強かったよね、大地君」と藤井が言った後、
「お母さん、念の為、病院へ連れて行かれては?」
「病院は行きたくないよ」と大地は泣きじゃくった。
「大地の泣き虫! 大地は強い男の子でしょ」とひとみは言った。
「やっぱり強くないもん。だから、病院へ行きたくない」と大地は泣いて、ひとみに懇願したが、
「今から病院へ行ってみます」と藤井に言い、ひとみは大地の手を引っ張った。
