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身体を重ねても、想いはズレたまま

第8章 第8章 想いはズレる




そんなたわいのない会話を繰りながら、出会って半年が経とうとしていた。



彼女の誕生日の2月には、フランス料理店で上等なワインを開けた。



そして、レナが好きだと言っていたカラーという白い花を、六本木のお店宛に束で贈った。



「実は、カラーってさ。うちのお母さんに聞いたら、アルゼンチンでは、日本の菊の花と同じでね。お葬式によく使われるんだって」



「えっ。そうなの!
知らなかった。
ゴメンね。
そんな花贈っちゃって、ほんとにゴメン」


私が慌てて、そう言うと、レナは笑みを浮かべつつ


「いいのよ。私も知らなかったんだし、あたし、この花好きだから、いいの」

と穏やかな声を口にした。



カラーは、ユリの花に似ていて、長い一本茎がすらっと伸びており、矢じり型の白い花びらを咲かせている。




花言葉は、「清浄」や「乙女の淑やかさ」を表し、なんとなく、彼女に雰囲気が合っている感じがした。




性風俗の出逢いではあったが、彼女からは、いわゆる常識というものでは括られない潔さや自由の匂いを私は感じ取っていた。






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