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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第8章 隠し事



翌朝、9時過ぎに目が覚めた。

チェックアウトは10時なのに…急がないと!



昨夜のことを今はなるべく思いださないように、バタバタと身支度をして、午前中の澄んだ空気を感じながらアップルへ向かう。





ーーーーシャランッ…


「マスターおはよう!昨日泊まりだったから、今日も来ちゃった。お昼までちょっと仕事させて〜!」


「おはよう。同窓会は楽しめたかい?
さ、座って。コーヒーでも淹れようか。」


「うん、お願い!」


私はそう言うと、窓際の特等席に座りパソコンやらをテーブルに準備する。



仕事をしようと思っても、昨夜の瀬川くんの手の温もりやキスがどうしても頭から離れない。



なんて連絡しようか…


瀬川くんは同級生のグループチャットには入っていないけれど、昨日連絡先を交換していた。


"昨日はありがとう…楽しかった……"とか?

無難な言葉しか思い浮かばない。
いや、無難で良いんだけれど、なんだか考えすぎてしまう。


とはいえ連絡しないのもなんだかおかしいし、なにより連絡を取りたい。





とっても良い香りのするコーヒーをマスターが運んできて、カリカリに焼いた小さめのバケットと一緒にテーブルに置いてくれる。


「わぁ!美味しそう〜!
マスターありがとう。」


にっこりと笑って奥に戻っていくマスターは、仕事の邪魔をすまいと思っているのかもしれない。


バケットに付いていた小さなバターの包紙を開けていると、携帯が2回ほどピロンと鳴った。


一瞬ドキッとして、心の中で深呼吸をして冷静にバターを塗る。


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