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不埒に淫らで背徳な恋

第1章 【心の歪み、気付いてる?】





約束の土曜日。




私は車で旦那の実家に向かってる。
助手席から沿岸沿いを走る景色を眺めてた。
何回も足を運んだ場所だけど、嫁の立場からすればやっぱり緊張はする。




それに稜ちゃんは一人っ子だ。
可愛い息子が帰って来たらお義母さんも嬉しそう。
第一印象は優しそうな人……だったけど
毎回行くたびに
「稜士のことお願いね、支えてあげてね」って圧がかかる。




良かれと思ってしてくれることや言われることもいちいち身構えてしまう。
笑顔で返事するけど少し苦手だ。
どこも嫁姑問題は同じだよ〜とか言われるから気にしないようにしてる。




「お久しぶりです」




「お疲れさま、疲れたでしょ」




気さくに話しかけてくれる義母。
この、会うまでが緊張しちゃうんだよね。
手伝おうとしても気を遣わないでと言われるから手持ち無沙汰。
稜ちゃんからもゆっくりしなよって言われて意気消沈。




えっと、嫁って手伝わなきゃだよね?
キッチンに入られたくないのかな?
思ってたのと違う……




お義父さんも加わり家族で食卓を囲んでいたらグラスを渡された。




「瑠香さんは良いだろ?少しくらい」と瓶ビールを向けられる。
稜ちゃんは車だから飲めないけど私は運転しないだろうとお義父さんが優しく勧めてくれた。
お言葉に甘えようとした時、阻止してきたのはお義母さんで。




「ダメよ、控えてらっしゃるんでしょ?」




「え…?」




そんなこと一言も言った覚えがない。
一瞬で稜ちゃんの顔色が変わったのも見逃さなかった。
そうよね?稜士…って言われてるけど都合悪そうな表情。




「ま、まぁ……今日くらいは良いんじゃない!?」




は…?何が…?
私、稜ちゃんにもお酒止めるなんて言ってないし常々子供はまだいいって言ってきたけど、どうやら義母との間ではそうじゃないみたいじゃない…?
すぐにピンときた。




だよな…ってお義父さんがグラスに注いでくれようとしたのに。




「ダメよ、女の身体わかってないくせに適当なこと言わないで!」




お義母さんの一言で一気に凍りつく空気。










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