不埒に淫らで背徳な恋
第8章 【本能のまま乱れ咲くのは愛と呼べるでしょうか?】
「あ、私……元々サディストです」
「マジか!僕はマゾヒストだから息ぴったりだよ!」
「社長、声が大きいです…」
周りからクスクス聞こえてきて二人して赤面。
目が合って思わず笑った。
優しく髪を撫でられ最後に社長はこう言ってくれた。
「ゆっくりでいいんだ、僕もキミが知りたい。だからお互いに知るところから始めよう?」
妙にストンと腑に落ちた言葉だった。
だから私も素直に頷けたのかも知れない。
会社に戻ってどれほど時間が経っただろうか。
「佐久間マネージャー!」と肩を叩かれハッとする。
「あの、大丈夫ですか?3回呼んだんですけど」ってみなみちゃん。
皆からの心配の眼差しに気付いて謝る。
「指輪貰ってなさそうだし、プロポーズじゃなかったみたいですね」と更に毒ついてくるから恐るべしみなみ!
「へっ!?」
動揺して声が上擦るから皆が「えっ!?」となり耳まで真っ赤になる私は最近歳のせいか誤魔化すのが下手になっている。
「と、とにかく仕事終わらせよう!」
「キャー!やっぱりそうだと思った〜!小山社長の気合い半端なかったもん」
「20分でいいから時間くれって格好良かった〜」
「待たせ過ぎちゃいましたよね、啖呵きって先に来ちゃうとかマネージャーの作戦勝ちですか!?」
こらこら……言いたい放題してくれるじゃないの。
ダメだ、動揺し過ぎて何も言い返せない。
また顔が火照り出す。
「ついに小山社長も動いたか〜」って部長もからかってくる。
「最近モテ過ぎじゃないですか?」
そう釘を刺してきたのはいつも冷静沈着で通っている月島くんだ。
僕含め…って顔してる。
皆に見えない角度であっかんべーとか二重人格過ぎでしょ。
確かに、小山社長の言葉が耳から離れずにボーッとしてた私が悪かったけどね。
「で、どう返事したんですか!?」
皆の視線が痛い。
ゴクリと喉が鳴る。
「………保留です」
「えー!勿体ない!」
「まだ待たせるとか勉強になります」
「これがモテテク!?」
「とにかく今は仕事っ!はい、皆各自席に着いて!」