
不埒に淫らで背徳な恋
第11章 【最終章 背徳没倫〜人の道から外れ、道徳に反する〜】
「いつものやつなら、やってもいい?」
コクリと頷く私にホッとして前髪を少し分けて額にキスを落とす。
事後に必ずしていたキスだ。
ダメだ……………溢れちゃう。
「笑えよ……最後だぞ」
無理だ…………
どうして私……こんな優しい人に………
どんなに傷付けても私にキツく当たれない人。
「俺、瑠香をもっと早くモノに出来てたらなぁ〜なんてちょっと後悔してる」
ほら、こうして笑い話に持っていく。
顔を覆って隠す。
繰り返す嗚咽に背中までさすってくれて。
「遊んでそうに見えてさ、瑠香に対してはめちゃめちゃ慎重だったんだよ、俺。笑えるよな!」
笑えないくらい……真っすぐだったじゃない。
それに甘えてしまった結果がこれだもん。
「離婚してからやっぱり諦められなくてさ、好きな奴居るのわかってたのに弱い時に漬け込んだ罰が当たったんだな……嗚呼、カッコ悪」
無言で首を振る。
私にとっては勿体無いくらいの人。
「顔上げてよ……泣き顔も結構好きなんだ、ていうかどの顔も好きだけど」
覗き込んで濡れた頬を親指で拭ってくれる。
泣くなよ〜って笑いながら。
最後くらい笑えよって言われてる気がして顔を上げる。
「化粧取れてる」
「えっ!?」
「ウソ」
「もう…!」
「すっぴん見た仲だろ?気にすんなよ」
「それはそうだけど…」
隙間を埋めるように距離を詰めて座り直してきた。
肩を抱かれそのまま抱き締められる。
「嗚呼、チクショウ……馬鹿みたいに好きだわ、俺」
されるがままで目を閉じる。
伝わる体温がとても温かい。
春樹さんの匂いが鼻腔に広がる。
心地良くて好きな香り…だったよ。
「嗚呼……またキスしたい」
そ、それは……困ります。
身体が離れて身構える。
「こんな女々しい俺は嫌い…?」
静かに首を振る。
髪を耳にかけられた。
「じゃあしていい?最後だから…本当にこれが最後」
潤んだ瞳で懇願されても横に振って拒んだ。
手を引かれ顔が近くなる。
譲れない……みたい。
ここでまた許したら……
「サヨナラのキスだから…」
