不埒に淫らで背徳な恋
第1章 【心の歪み、気付いてる?】
「あの、本物です……結婚してます」
「えっ!?」
すかさず納期を後輩ちゃんに聞く。
「それでは今月末には納品させていただきます」
契約書にサインさせたら即退散。
車に乗るやいなや後輩ちゃんが口を開く。
「さっきの店長さん、豆鉄砲食らってましたね」
ハンドルを切り返しながら答える。
「これがまさかの男除け……」
後々ツボにハマり2人して笑った。
管理職になって2年。
上司部下に挟まれ大変な時もあるけど、
新商品が発売される日の前後は繁忙期とあって土曜日は駆り出されたりするがそれ以外はカレンダー通りだし、賞与も年2回プラス業績が良ければ臨時ボーナスも支給だし割とホワイトな方だと思う。
自分のデザインしたものが商品化したりするのは一段と嬉しい。
美容コスメの企画から製造までを担うから常にトレンドを意識出来るし何より若い社員の目がキラキラしてる。
結構やる気のある子たちだから育てやすいしね。
会社もお洒落なカフェをイメージした造りだから居心地も良いよ。
ソファーで団らん出来たりするし社員皆で月1の食事会も出席率高し。
女性多めだけどちゃんと男性社員も居る。
私服で良いし染髪ピアスも奇抜じゃなければOKだけど、私はダークブラウンの髪にストレートのミディアムヘアで最近伸びてきたから若干巻いてる。
毎朝大変だけど。
「畠中チーフまた口説かれてました」
会社に戻った途端、後輩ちゃんがチクる。
こら、部長にそんな報告しなくていいのよ。
「さすがだな、お疲れさん」
直属の上司、真鍋部長。
私に一から仕事のノウハウを叩き込んでくれた人。
デスクにカバンを置いて上着を脱ぐ際に目を合わせ愛想笑い。
「あ、そうだ畠中、来週から営業で新入社員入ってくるんだけどまずは研修で面倒見てくれるか?」
「えっ、こんな時期に中途採用ですか!?」
「うん、本社で採用したらしいんだが希望勤務地はこっちみたいなんだ。あ、帰国子女らしいから英語はペラペラだってさ」
「は、はぁ……」