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「もっと喘いでよ……好きなの、その時の快くんの顔」




「ヤバ……惚れ直す……瑠香さんヤバい」




甘く囁いて唇が重なる。
こんな一時を共に過ごせてる幸せ。
一緒に噛み締めていこうね。
その好きって気持ち、上書きしてってあげるから。




「惚れてて……ずっと」




離さないよ……と深く口づけ。
時間が経つのも忘れるほど唾液を吸い合った。











何でもっと早く出逢わなかったんだろう、
何でもっと素直になれなかったんだろう、
何で先にキミを選ばなかったんだろう、




何で………何で…………




きっとこんなことを人は繰り返し思うんだろうな。




あの時ああしていれば……なんてすぐに過去を後悔する。
何とか自分に言い訳並べて納得させて無理やり前に進もうともする。




あの時なんて戻らないのに。




けど巡り巡って此処に来てるのだとしたら、それはきっとあの時の自分から繋がっているもの。
あの時があったから今の景色があるんだ。




裏切ったり傷付け合って、その中で私の手を握ってくれた。
離さないと言ってくれた手を握り返した。




それが全て。
やっと自分に出せた答えなのだ。
もう曖昧だった自分は居ない。
遠回りさせてくれた景色が糧となっている。




「快くん……」




私はこれから何度だってこの人の名前を呼ぶ。
あどけない顔や拗ねた顔、笑った顔に怒った顔、泣きそうになったり優しく頷いたり……全部を共有してくの。




やがて命が繋がっていく。




小さな手が私たちをより強く結びつける。




これから見る初めての景色がずっと光り輝くものでありますように。







「どっちがいいかな？迷うね」




「うん、どっちも見たいけどね」




「試着してから決められますか？すぐご用意出来ますよ」




「じゃ、それで決めます」




「え、あ、ちょっと…」




「少々お待ちください」




スタッフが捌けた後。
「こっちの準備だってあるんだからね！」と快くんを叱る。
「良いじゃん見たいもん」ってヘラヘラしちゃって。