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不埒に淫らで背徳な恋

第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】





ちょうど良いタイミングでみなみちゃんがコーヒーを持って来てくれた。
ありがとうと言って、助かった…とアイコンタクト。




最近はパッタリ来なくなってたし、打ち合わせ自体も久しぶりなんだけどチャラ男ぶりは今も健在ですね。




無理やりにでも会話を軌道修正しつつ打ち合わせも終盤。
ようやく形が出来てきた。
デザインも絞れて来たし後は……





「そういやさっきから思ってたんだけどさ…」




椅子の距離が縮んだのに気付いて、
ヤバっ…また何か来る!とタイピングしながら小山社長に視線を向けたら案の定、耳に髪をかけられ身構える。




「今日のピアス、めちゃくちゃ可愛い」




ちょっと油断してた。
咄嗟に身体を離したけどあからさまに態度に出すのはいかがなものかと躊躇してしまう。
クスッと笑う社長は余裕めいた顔。




その時、ドアがノックされ顔を見せたのは佐野くんだった。
今の……見られた!?ていうか丸見えだよね。
そういうの関係なく仕掛けてくる人だから。




「打ち合わせ中すみません、チーフちょっといいですか?」




よっぽど急用なんだろうと席を外す。
海外からのメールですぐ返信しなければならないものだった。
その確認と後の作業についてだった。
さすが帰国子女だけあって英文は完璧。




「後は資料室で教えるね」




「はい、ではこれで送信しておきます」




「お願いします」




再び打ち合わせに戻ろうとしたら社長の方から出てきた。




「僕はこれで失礼するよ、つぎは美味しいご飯でも食べながら最終打ち合わせしようね」




「あ、はい!すみません、駆け足で…次回までに今日の案まとめておきますね」




エントランスまで見送る。
皆も会釈する中、聞こえるように
「じゃあね、瑠香ちゃん」と下の名で呼ぶ。




「お忙しい中ご足労いただきありがとうございました」




得意の営業スマイルで対応するとさすがだね…と笑顔で去って行く。
次会う時は編み込みヘアやめてピアス見せないようにしよう、と心に決めた。




振り返ると皆が労いの眼差し。
「さぁ、仕事仕事」と切り替える。
いつもの和やかな雰囲気に戻したところで一人だけ顔色が違う。








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