
不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第31章 恋愛成就
えへへ、とはにかむ綾香ちゃんを見て、コウヘイくんは「ありがと」と缶ビールを受け取った。
「ねぇ、1回ぐらいデートしたのーっ?まさか、なんにも無しで一方的に尽くしてるの?」
アンナが声を荒げると、綾香ちゃんは「してないよぉ~!でも、いいの~!」とニコニコ笑った。
「コウヘイ、お前ほんと罪な男だな…」
平野が言い、そこにいる全員が訝しげな視線でコウヘイくんを見る。
「な、なんだよ~!えぇ、俺、わるもの?!」
おどけるコウヘイくんにアンナがまくしたてる。
「あんたねぇ!ハッキリしなさいよっ!30過ぎた独身女は時間に限りがあるのーっ!!もてあそぶなーーっ!!」
平野が”こわ~い”という表情をすると、私も瀬川くんもこっそり笑った。
少し酔った様子の綾香ちゃんが頬を赤くしてそっとコウヘイくんを見る。
「んじゃあ……行く?どっか、デート」
「おい、どこ見て言ってんだよ(笑)」
空に目をやりながら言うコウヘイくんに平野が突っ込んだとき、綾香ちゃんは今までで一番最高の笑顔を見せていた。
「綾香ちゃん、いっぱい奢ってもらわないとねっ!」
アンナが言うと、また「そう、そう」と平野が賛同した。
それから、コウヘイくんと綾香ちゃんのデート先についてみんなで好き勝手騒いだあとで、どんどんと夜は更けていった。
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翌朝、また皆でカレーを食べると片付けが始まった。
ふと、そばに瀬川くんがやってくる。
「今日、温泉でも寄ってくか?なんなら相方も誘って」
「本当?わあい、アンナに言っておくね!」
結局、平野も来ることになり4人で日帰り温泉に立ち寄った。
アンナと2人、湯船に浸かって声をあげる。
「うあ~~~!」
「きもちいい~~~!」
ちょろちょろと掛け流しの音と共に、私たちの声も心地よく反響する。
