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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第37章 その後の物語


アンナは去年から平野と付き合い始めた。


瀬川くんと4人で初詣に行ってからも、いまいち踏ん切りがつかない2人はなんとなく

”一緒に出かける特定の相手”

を1年以上も続けていた。




去年、アンナの父親が病気で入院し、数日間生死をさまよった事があった。


その時にそばにいたのは…アンナが求めたのは、バラ組ではなく平野だった。


私たちバラ組に不服は一切なく、平野との交際を手放しで喜んだ。



相変わらず関係性は変わらず、漫才のようなやりとりで皆を笑わせてくれる2人の幸せを誰もが願っている。


馬鹿笑いして、ずぼらに扱っているようでも、実は「平野がいないとつまんない」「アンナちゃんがいないとつまんない」とそれぞれに言っている事を、瀬川くんと私は知っている。





アンナの父親にたいそう気に入られている平野は、彼女を置いてゴルフへ出かける事が増えた。



「あいつ、また父さんとゴルフだよお~!今日休みなのに。帰ってきたら、ぜったいなんかご馳走してもらお!」



ぶっきらぼうに言うアンナの顔は穏やかだ。



料理にもチャレンジするようになったアンナは、たまに私の元へやってきて熱心にレシピをメモする。



「失敗した」と、焦げた料理の写真を見せられると、それでも”美味しいよ”と完食してしまう平野の姿が浮かぶ。



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