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田村さんと私

第1章 訪問

田村さんは町内でもとびきりの美人だ

夫婦でこの地に越してきて、初めて挨拶したときに抜けるような白い肌にどきっとした

長くて茶色に染めた綺麗な髪をなびかせて、歩く姿はまるで女神のようだった

町で見かけるたび、いつも目で追ってしまっていた

しかし田村さんに挨拶は出来るが、話をしようと思うとから回ってしまい、上手に話せなかった

そんな様子を妻も知っていて

「馬鹿じゃないの?すけべ心丸出しで…もうすぐ50になるっていうのに」

と軽蔑されていた

妻とはずっとセックスレスだった

2人目が生まれてからというもの、セックスしたいと言っても「気持ち悪い、育児で忙しい、疲れているんだよ!」となじられてしまい、相手にしてもらえなかった

以来頼むことも諦めた

風俗も考えたが、小さな町に風俗は無く、隣町まで出なければいけない

しかも同じ考えの町の男たちと鉢合わせるのも嫌で、風俗も諦めた

自慰で過ごす寂しさを10年以上続けていると、これが当たり前となり、だんだんと寂しくなくなっていった

「あっ…」

田村の表札が見えた

深呼吸をして、話すことを頭の中でまとめた

何度もシュミレーションをしながら、田村家の門を開いた

ギィっ

いつもは綺麗に咲いている花壇の花が萎れている

インターホンを汗ばむ手で押した

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