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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第89章 お仕置きの後は…



五条先生が何か言おうとしてたけど、聞かずに通話を切った。

泣きそうだったから、早く泣きたかったから。

医者なんだから、普段から帰れなくなるなんてことはよくある。

突然予定が入ることだってある。

だから、デートが今日になった。



だけど、今日はデートだったの。

今日がデートだったの。



やっと行けると思って、楽しみにしてたデートだったから…




「グスン……グスッ……、グスンッ……グスン……」




おしゃれした服の上に、次から次へと涙が落ちる。

止めどなく流れる涙のせいで、時間をかけたメイクも落ちちゃう。

せっかくおしゃれして、普段することのないシャワーまでして、メイクも髪もばっちり決めたのに。

デートのために頑張ったのに…



うきうき、ドキドキ、そわそわと。

五条先生のことを考えながら準備してた時間を思い出すと、虚しさが胸から身体中に広がっていく。

こうなることも知らず、あんなにテンション上がって気合い入れて準備してたのが馬鹿みたいで、やるせない気持ちに押し潰される。




「グスンッ…グスンッ…ヒック……、うぅ……」




悲しくて悲しくて悲しくて、シーンとするリビングのソファーでひとり泣き続けた。


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