
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第109章 幸せな痛み
「ひな、全部入った…。」
苦しそうに嬉しそうに言う五条先生。
確かなその言葉を聞いた瞬間、わたしの目はブワッと涙が溢れ返った。
「頑張ったな、ひな。ごめんな、痛いな。怖かったな。もう全部入ったぞ。ちゃんとひとつになってる…。」
痛みなんて感じない。
それよりも、嬉しさと安堵と…
やっと最後まで繋がれたことの感情がしっちゃかめっちゃかになって、なんかもうわかんないの。
「ハッ…っ、ヒック、ヒック…ハァ…ぅぅ…」
「ひな、呼吸整えようか。このままでいいから、一緒に深呼吸しよう。息吸って〜…」
「ヒッ…ヒック……スー…ッ、ヒック……ハァ、ハァ…」
「ん、ゆっくりゆっくり。焦らなくて大丈夫。」
ぴったりとわたしを抱きしめたまま、じーっと動かずに、手だけ頭を撫でてくれる。
わたしの最奥に達する瞬間、聞こえた五条先生の息を詰まらせたような余裕のない声。
あれは気のせいだったのかと思うくらい、耳元に響く五条先生の声は、優しくて落ち着いた、わたしを安心させてくれる声。
