ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
七海「あの、すみません。僕たちは今後どういう対応になるでしょうか?隔離措置になりますか?」
さすがというか、相手が藤堂先生だからか。
わたしは状況がまだ掴めていないのに、傑が先陣を切って質問する。
すると、
夏樹「待って。麻しんなら俺ら全員抗体検査して、ワクチン接種してるだろ?あの、別に大丈夫なんじゃ…。」
怖いもの知らずというか、相手が藤堂先生だからか。
空気を読むことを知らない夏樹が続けて言う。
ただ、夏樹の言う通りではあって、麻しんの抗体検査とワクチン接種は、臨床実習に参加するための要件のひとつ。
わたしたちは1年生の時から、実習に向けて抗体検査やワクチン接種を受けており、当然それには麻しんも含まれる。
けれど…
藤堂「ひなちゃんは接種してない。」
『えっ…?』
「……。」
語気を強めて放った藤堂先生のひと言に、全員の視線が藤堂先生に向いた。
その藤堂先生の視線が先が、夏樹からわたしに移る。
すると、みんなの視線も当然わたしに移されて…。
誰とも目が合う前に、わたしは静かに俯いた。