ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第113章 地域実習
「…ああ、知ってる。ただ、症例が症例だけに文献は僅かしかなくて、俺も詳しく知らないし、直接その患者を診たことがない。」
「五条先生でも詳しくないんですね…。」
「残念ながら、ノワールにその知見を持つ人はいないと思う。そもそも俺は専門外だが、宇髄先生や蓮先生ですら対応できないと思うぞ。」
俺にある知識ならひなに全部教えてやりたいが、いま口頭だけで説明しても理解が難しいだろう。
それに、俺の憶測も混じっていることだ。
そんな状態で俺がものを言うよりも…、
「ノワールですら診れない病気だなんて、この先そんな患者さんに出会ったらどうすればいいんだろう…。」
「それを学べたじゃないか。」
「え?」
「ふじさわ病院。そこに詳しい先生がいたんだろ?俺も知らなかったことだ。」
「でも、診察は外に出されたんです。学べず帰ってきたから今こうして…」
「そんなことない。知見を持った先生がその病院にいると知ったこと。しかも、その先生と繋がりを持てたこと。それだけで今回ひなが研修に行った価値は、今後の医者人生において計り知れないものだぞ。」
せっかく素晴らしい先生に出会ったんだ。
だから、
「もし、そういう患者に出会って困った時はその先生に聞くといい。必ず力になってくれるはずだ。」
「はい。」