ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第23章 蕁麻疹
「なんでパンしか食べなかったんだ?」
怒らないと言ったからか、五条先生から怒りは感じなくなった。
「決められなくて…」
「は?」
「メニューが沢山あって、どれも美味しいそうでご馳走に見えて、迷ってたら何食べたらいいのかわからなくなって、結局、家でも食べたことあるようなパンを…」
声に出してみて改めて思ったけど、ご馳走に手をつけられずに袋入りのパンを買うなんて、あの人との生活から全然抜け出せてないみたい。
「お昼は1人で食べてるのか?」
「はい。友達ができてないので、ひとりです。でも、ひとりなのは気にしてないです。いつもそうだったので。」
あ、また。
いつもそうだったけど、本当は友達ができて一緒にわいわいできたらいいのになって思ってる。
「途中から入ったから、すぐに友達ができないのは仕方ない。慣れなくてひとりで辛いかもしれないけど、ご飯はしっかり食べないとダメだ。メニューが選べないんなら、端から順番に毎日違うもの食べてみればいい。」
なるほど、その手があったか。
「とりあえず、この土日はしっかり休め。」
「はい…」