ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第67章 鉄剤注射
「ハァハァ…ハァハァ……ッハァハァ」
「栗花落さん、大丈夫よ。落ち着いて深呼吸してみようね。」
と言いながら、看護師さんは藤堂先生を呼んでくれて、
「ひなちゃーん、大丈夫大丈夫。もう大丈夫だよ。ちょっとしんどくなっちゃったね。ゆっくり呼吸に集中するよ。」
藤堂先生の優しい声に安心して涙が。
「藤堂先生……ハァハァ、ハァハァ…」
「うん、大丈夫大丈夫。急に苦しくなってびっくりしたね。」
と言いながら、藤堂先生はテキパキと膝にクッションを入れたり、少し頭をあげたり、わたしのブラウスのボタンを外してくれる。
「ハァハァ…嫌……ッハァ…注射、ハァハァ…怖ぃ……」
「怖かったね。注射もう終わるからね。ひなちゃん、息は吐く方を意識してみようか。」
って二の腕のあたりをさすってくれる藤堂先生。
そんな藤堂先生の優しい顔を見てたら、不思議と注射の怖さも痛みも和らいでいった。
そして、注射が終わったら身体を横にして、今度は背中をさすってくれた。