ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第78章 わたしの心臓
次に目が覚めると、さっきの夢心地な目覚めとは一転。
胸が痛くて痛くて仕方ない。
麻酔からも覚めてるようで頭はクリア。
だけど、鮮明になった意識の中でも、痛みで視界はぼやけるのみ。
「ハァハァ…ハァハァ……」
工藤「ひなちゃん痛い?」
コクッ…
工藤「よしよし、わかった。お薬入れるな。すぐ効くから大丈夫だぞ。」
と言われるものの、薬が効くまでの時間が地獄みたい。
今、自分の胸にある傷がどうなってるかわからないけど、それなりにメスが入ったことがわかるくらい、とにかくすっごい痛む…
それに加え、胸を動かすのが怖くて呼吸も浅くしかできない。
「ハァハァ……っ…ハァハァ……ッハァ…」
工藤「ひなちゃん痛いな。もうちょっとで痛み引くからな。深呼吸しなくていいから、落ち着いて酸素吸ってごらん。」
と工藤先生が手を握ってくれると、少し気が緩んで目尻から涙がスーっと。
すると、その涙をそっと拭う誰かの指が触れた。
「ひな。大丈夫…大丈夫だぞ。」
ぽん…ぽん……
五条先生…
そばにいてくれたんだ。
目を開けた時、そばに五条先生がいるのがどれだけうれしいか。どれだけ安心するか。
今度は気が緩み切って、わたしは再び眠りについた。