ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第78章 わたしの心臓
「いいか?ひなの胸にメスを入れたのは、ひなの心臓を守るためだ。傷つけるためじゃなくて、元気にするために手術したんだ。それで、ひなの心臓はちゃんと元気になった。なのに、どうしてひな自身が元気じゃなくなるんだ…。」
そう言って、五条先生はわたしの左胸に手を当てた。
ビクッ!!
「ぃゃ…っ。」
思わず身体を縮めると、今度はわたしの手をわたしの左胸に当てさせて、そのままふわっと抱きしめられた。
右手でぎゅっと五条先生に寄せられてて、左手はわたしの胸の手の上に乗せられてる。
だから、心臓から手を退けたいのに退けられない。
「五条先生…やめて……」
「大丈夫だ。怖くないから落ち着いて。ほら、俺の心臓の音聞こえるか?」
五条先生の心臓の音…
抱きしめられるといつも聞こえる五条先生の心臓の音は…いつも通り、しっかり聞こえてる。
「…コクッ」
「ん。じゃあ、ひなの心臓は?この手に心臓の動き感じるか?」
わたしの心臓…
トク、トク、トク、トク…
胸に当てた手に、規則正しいリズムが伝わってくる。