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いつか秒針のあう頃

第6章 6話 Last

それから、何か、幸せな夢を見て。
満たされた気持ちのまま朝を迎えた。

夢の内容は憶えていないのに、何故だか、大丈夫、全部上手く行っているんだ、って確信的な気持ちだけ残っててさ。
ほわん、と温かい安心感をしばらく味わった。

そうか……。
考えてみれば新番組のこともあるし、年末、かなりハードだったのは間違いないから。

これからの仕事のことで、俺も緊張してたんだ。
ほぐれた状態になってやっと、結構イッパイイッパイだったんだな、と自覚した感じ。

智くんには分かった風に時差ボケ、なんて言ったけど。きっと5人共に、このシフトチェンジではしばらく戸惑いつつ過ごして行くのかもしれない。

それでいいんだ。
大きな変化なんだから、ゆっくり馴染んで行けばいい。

ストンと腑に落ちた感があって、焦る気持ちが平らになっていた。

智くんがベッドに居なかったから、先に起きたんだとわかって、自分も起き上がろうとする。

と。

「ええ~~……マジか……」

体が重くて全然動かない。
仰向けから横向きにと、体勢を変えるだけのことが酷く億劫で、腰は痛いし、下半身の関節がギシギシ言ってる。

「ごほっ……結構鍛えてる筈なんだけど……」

筋肉痛? 怠くて駄目だ。

「ふふっ、年かなぁ……あー、喉痛ぇ……」

ケホケホ、と咳をしていたら寝室のドアが開いた。

智くんは勝手に取り出したらしい俺の服を着て、その上に頂き物のエプロンをつけている。
洗面も済ませたのか、髪に寝ぐせもない。
いそいそとやってきて、歌うように言った。

「翔ちゃーん、起きてるか~~?
 おはよ~~おそよ~~。
 ご飯出来てるよーん。
 オイラ腹減った~~」

「…………」

テンション高っ。
機嫌良いな。
超ニコニコしてる。




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