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病院の風景

第6章 回復

入り口側が終わったらしく、窓側の僕の隣のベッドの灯りがつき、看護師さんが話しかけている。名前を呼んで起こしているようだ。

「お熱測らせて下さいね〜。」

という声が聞こえた。

すると少し大きめの声で、

「あんた美人だなー!」

という男の声が聞こえた。そのベッドの患者の声だ。石川は、その患者とは挨拶くらいしかしたことはないが、普通の人という印象だ。

すると、ゴソゴソ布が擦れるような音がしだした。看護師さんの、

「ちょっと…。」

というような小さなヒソヒソ声が聞こえる。

「左の脇に体温計挟んで…、ちょっと動かないで下さい…。」

「動くとお熱が測れないですよ!」

「ちょっと、お願いだから…。」

ゴソゴソ布の擦れる音がするのと、コツコツ、コツコツと看護師さんの足踏みをするような音がする。

「ちょっと…、ちょっと……。」

ヒソヒソと聞き取れないような声がたまに聞こえ、その状態がたぶん15分くらい続いた。

そして隣の電気が消え、終わったらしく、石川の方へ来る様子があったので、石川は寝たふりをしていた。

「石川さん、石川さん、お熱測らせて下さい。」

と呼ばれて、看護師さんの顔を見ると、担当の神谷だ。

「石川さん、何か困ったことはありませんか?」

と聞かれた。石川は、体温計を受け取りながら、

「はい!今のところ大丈夫です。」

と答えた。その時、石川は、あることに気がついた。看護師の神谷のズボンのファスナーが下がっているのである。体を動かした時に、白のズボンの股の所がパックリと割れてその部分だけ暗く浮かび上がるので、ファスナーか開いていることがはっきりわかるのである。

石川は、視線が神谷の股間に行くのをこらえながら、体温を測ると、神谷はズボンのファスナーが開いていることに気付いていない様子で、

「何かあったらコールで呼んで下さいね!」

と言って電気を消し病室を出て行った。

石川は、隣の患者が神谷に何かしたんじゃないかと気にはなったが、そのまま眠りについてしまった。

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