
ALICE物語
第1章 墜ちていくアリス
「…どんな奴が泣いていると思ったら…女の子の人形?」
草を掻き分けて出てきたのは、ストライプの服を着た淡い蒼い髪色の少年だった
どうやら、泣き声が気になって見に来たようだ
「ひっく……
…に、人形じゃぁ無いもんっ!!」
どうやら少年の声が聴こえたらしいアリスは、言われた言葉を目に涙を溜めたまま否定した
「はぁ?君は人形だよ…?
それとも人間だったって言うのかい?」
少年の言葉に疑問を持ったアリスは涙目のまま、自分の体を見回した
見えた自分の手は布で、髪の毛は糸で、手で触った自身の手の中身は綿らしきモノでできていた
そう、彼女は“人間の女の子”から“女の子の人形”に変わっていたのだ
その事に初めて気が付いた彼女はまたしても泣き始めてしまった
「うわああぁぁぁんっ!!
帰りたいよぉっ!!!!」
「うわっ!!泣かないでよ!!
僕は泣き止ませるのは専門外なんだからー」
また泣き出してしまった彼女を泣き止ませようと頑張る少年
端から見れば微笑ましいが、本人たちからすれば大変だということがわかる
「ぼ、僕の名前はチェシャ猫だよ!!
君の名前はっ!?」
泣くことから意識を離そうと名前を言った少年、チェシャ猫
いきなり聞かれたことに多少意識がいったらしいアリスは涙を頑張って抑えながら名前を言った
「…ひっく………
…私は…アリス、だよ…っく…」
どうやら、意識を逸らすことに成功したようだ
その事に気が付いたチェシャ猫は、少し顔を綻ばせながらアリスに微笑みかけた
