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3度目にして最愛

第3章 3度目にして最愛


それからまた一人暮らしに重宝していたマンションに戻ったが、初恋の時と違って1ミリも涙は出なかったというのに、2度目の恋愛を経てから水城は一人で居る事に対して時折虚しさを覚えるようになった。

心の深傷を負った自覚もなく、日に日に増長していくそれは決まって暇になった時と職場やバラエティ番組等で結婚話や入籍を耳にした時だ。
酷いと満足に眠れなくなってしまう為、いつからか予定の無い休暇日を設けず忙しなく動き回る回遊魚のような生活を始めていた。
仕事で忙殺されるぐらいが丁度良いと感じる精神を心の何処かで異常だと思いながら、「隈が酷い、顔色も悪い」と指摘するお節介焼きの喫茶店経営の友人には、「仕事が生き甲斐なんだ」と水城は虚勢を張った。

「仕事に生き甲斐を見出す事と身体を酷使する事は違うでしょ。ちゃんと休みな。」

そう友人に気遣われるも、「そうだね」と水城は疲れた愛想笑いを浮かべる事しか出来なかった。

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