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異世界転生しなくても美女とハーレム

第6章 天敵あらわる

これほど動揺した事が、私の人生においてあっただろうか。
私は、麻理からの返信を待つ。

おそらく、五分は待っただろうか? 麻理から返信がきた。

>やっと返信してくれた
>未読無視はゆるしませんよ 笑
>ちょっと、ビックリさせようと思って、黙ってたんです
>初めて会った事にするんですね。分かってますよ

一先ずは安心して、私はトイレから出ることにする。すると、トイレを出たところで麻理に出くわしてしまった。

しかも、タイミングの悪い事に加恋と一緒に居るではないか。

「あ、田中課長。 今日から営業部に入ったパートタイムさんです」
加恋が余所行きの顔で私に麻理を紹介した。

「ああ、さっき部長から紹介されたよ。
たしか……、栗原さん、だったよね」

(たのむ、せめて加恋の前では他人の振りをしてくれ)私は祈る。

「はい、栗原麻理と申します。 よろしくお願いいたします」
そう言うと、麻理は執務室でやったように頭を深々と下げた。

顔は見えないが、なんとなくペロリと舌を出している気がした。


「田中課長、良かったですね。
栗原さんみたいな可愛い子が入ってくれて。
でも、浮かれて仕事を疎かにしないでくださいよ」

ニコリと笑いながら加恋は言ったが、目が訴えている。

『可愛い子が来たからって、手を出したら承知しないわよ!』

「あはは、冗談が過ぎるな。
若い独身の社員がいっぱい居るのに、僕が浮かれる訳ないじゃないか」

私たちの会話を横で見ていた麻里が閃きの表情に変わる。

(この表情、まさか、何かに気づいたのではないのだろうか?)




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