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変態ですけど、何か?

第10章 レクイエム

目が覚めると、10時をすぎていた。

洗面所を借りに母屋に行くと、
お母さんが声をかけてきた。

「おはよう。ベッドが狭くて、ゆっくり眠れなかったんじゃない?」

寝不足でボーッとしていたあたしは、頷きそうになった。

「は、・・・いえ、玲子先生はソファーで寝てくれて、ベッドはあたしが占領させてもらったので」
と、取り繕った。

玲子先生が隣でコーヒーカップを洗っていると、
お母さんは、
「キッチンで洗えばいいのに」

と、不思議そうに言った。

「いいの、これふたつだけだから」
玲子先生も、ギクシャクした様子で取り繕う。

お母さんは、それ以上、何も言わなかった。


「朝ごはん、出来てるよ。あと、トースト焼いて上げるね」

お母さんが言ってくれたが

「お母さん、いいよ。トーストくらい私が焼くから。それより、工場の方、忙しいんじゃない?」
と、玲子先生はやんわりと断った。

「そうねえ。じゃあ、お願いね。洗い物は流しに置いといて。
それにしても玲子、本当に面倒見がいいねえ」

言い残して、お母さんは一階の工場に降りていった。

ずいぶん早くから用意していてくれたみたいで、スクランブルエッグとソーセージは冷えていたけど、
玲子先生と2人で食べるとすごくおいしかった。


食事のあと、玲子先生は駅まで送ってくれた。

「里帆。昨日はありがとう」

「そんなこと・・・。あたしの方こそ、ありがとうございました。
夜桜、とっても綺麗だったし、すき焼きも美味しかった。
それに、玲子先生と居られて、嬉しかったです」

「喜んでもらえて私も嬉しいわ。じゃあ、また春休み明けに逢いましょう」

「はい!
玲子先生、大好き!」

あたしは言って、改札に駆け込んだ。

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