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ビルの外へ出る。

内勤の花実にとっては、久しぶりの外気に、伸びをする。
一日中パソコンと向き合うと、仕事終わりには肩がずっしりしている。

3月の午後6時過ぎは、まだ暗くなりきらない。
西の空が赤くなって、日が沈む直前の明るさだった。

今朝の神社の前を、少しだけ鳥居の中を気にしながら通り過ぎた。薄暗くなった神社の境内では、猫を見つけられないので、いつも戯れるのは朝だけだ。

今日の仕事のことを考えながら、ぼーっと歩く。

バッグから定期を取り出して、改札にかざす。
タイミングよく来た電車に乗り込むと、その揺れに、疲れた身を任せた。

窓の外は、立ち並ぶビルから、マンションや住宅地の風景へと変わっていく。移り変わる景色が、花実を仕事の疲れから遠ざけていく。