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一時を悠久の時へ

第5章 時は巡り

あれから二年の月日が経つ

相変わらず雛は母から関心を持たれてはいない

食事は気分任せに与えられたりもするが

それと同時に時折気分任せに暴力が振るわれた

たまに神社に顔を出すが俺に助けを求めず

祈るのはあんな母の事…

子供は何故あんな母でも好きでいられるのか

俺に母…いや父や身内など記憶にある限り

居なかったから解らぬのだけなのか

それでも俺達の事を忘れた訳では無いのは

時折ギュッと握られる手を嬉しそうに見る顔と

神社に出入りする時に狛猫達にそれぞれ挨拶して

まだ届かないから足先だけをスッと撫でる

狛猫達も他に人影が無ければ

尻尾を微かに動かしたり口元を綻ばせたり

微妙な動きをして嬉しそうにしながらも

心配そうに見守っていた

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