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悪魔から愛されて

第16章 私の中のリリス

私は会社の自動販売機の前で飲み物を選んでいた。

「鈴木さん…そんなに選ぶのに悩むのか?」

振り返ると、そこには龍崎部長がいた。

「い…いえ…ちょっと、ぼーっとしてました…」
「…そう。眠そうだな?」
「いえ…眠くは…ありません。」
「そう…。」


“ガタン”
龍崎部長は冷たい缶コーヒーを私の頬に押し付けた…

「キャッ…冷たい…何するのですか…?」
「なんか…顔が赤い気がしたから…」
「そ…そんなこと…ありません…」

近くで見る龍崎部長に心臓がドクンと鳴る。
顔がさらに赤くなってくる…

「ムキになるところは可愛いね…」
「そ…そんな…揶揄うのは止めてください。」



頬にふわっと優しい感触…
「…っえ?」

龍崎部長が頬に口づけた…


心臓が激しく鳴っている…


この感触…


私が求めている感触…


もっと…欲しい…

「あっ…あの…龍崎部長…」
「…ん、何かな?」

「い…いえ…なんでもありません…。」
「クスッ…へんな奴だな…」



私は何を言おうとしたの…
言えるはずない…
言ってはいけない…



今の幸せを壊す勇気はない…

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