悪魔から愛されて
第20章 ライバル
今日も龍崎さんと一緒に出社した。
エレベーターを降りて、軽く手を上げる龍崎さんの後姿を見送り、私は営業部に向かった。
すると突然、何かに躓いた…
「キャー…」
…ドタン…
私は、見事に転んでしまった…
「…痛…何が起こったの…」
後ろを振り返ると、綺麗な女性が腕を組んで立っていた…
…確か…秘書課の…柳原麗美…
…ぜったい…今…わざと…足を出したんだ…なんで…
「鈴木さん、ごめんなさいね、ヒールがぶつかったみたい。大丈夫かしら?」
「…だ…大丈夫…です。」
するといきなり、ニヤッと意地悪な笑顔が向けられた。
「龍崎部長も悪趣味ね…どんくさい女が好きみたいね…フフッ」
そう言い残すと、機嫌が悪そうに去っていく…
…何…あの人…信じられない…
その様子を見ていた京子が駆け寄って来た…
「鈴木さん、大丈夫ですか…」
「西条さん、ありがとうございます。大丈夫です。」
「あの人…何なの…わざと鈴木さんに足出してたよ。
確か…秘書課の柳原さんだよね…あの人に、気を付けたほうがいいよ…」
「…えっ…そうなの?」
「…うん。確か、龍崎部長に夢中なんだけど、恵美が来てから機嫌悪いって聞いたよ…」
「…そうなんだ…」
「…鈴木さん、何かあったら私に言ってね。力になるからさ…私は鈴木さんの味方だからね…」
「…ありがとうございます。」
…京子…ありがとう…
…やっぱり京子だね…