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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第2章 担任、井田春斗のクラス

そんな生徒たちの声を背中で聞きながら、井田先生は振り向くと、唇に人差し指を当てて、いたずらっぽく言った。

「シーッ、静かに。この時間、中庭の許可取ってないから、学年主任にバレたら怒られる。みんな、こっそりついてきて」

クラスみんなが秘密を共有するような雰囲気に、わくわくしていた。
クスクスと小さな笑い声を漏らしながら、ぞろぞろと中庭を目指す。わたしはその時間が、今までの学校生活の中で、いちばん楽しい時間のように感じた。

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