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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第3章 校医、澤北優の内科検診

お互い、少し疲れを顔に滲ませる。それでもまたそれぞれに、これからまた業務が残っていることを思ってか、春斗がふんわりと笑った。

「今日食卓に、ここの畑で採れたイチゴが並ぶと思うよ。楽しみにしててよ」

「え?! イチゴ?! はぁ〜……なんでも育てられるんだなぁ」

春斗の趣味は立派に飯が食える。物理的な意味で。素直に感心する俺に春斗はまた、クスクス笑った。

「その反応、この間、白河さんにもされた。イチゴって珍しい感じするもんね」

突然、春斗から出てきた彼女の名前に、蹴りをつけたはずの思考がむかむかと湧き上がりそうになって、慌てて蓋をした。

チャイムが鳴って、授業間の休憩に終わりが告げられる。春斗はこの後、授業があると言っていたので、ここで別れる。

とりあえず、白河咲のことは一件落着。
あとは児童相談所の指示に従う。
そのはずだったのだが……。

事態が急変したのは、その夜のことだった。

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