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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第17章 願いごと

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1月1日。元旦。
春ちゃんと優と、3人で初詣に行く予定だったのだけど……。

「春ちゃん起きて〜!! 初詣行くよ!!」

朝9時になっても春ちゃんが起きてこないので、寝室へ行って眠っている春ちゃんの肩をつついた。いつもなら、6時に起きる春ちゃんが、ここまで寝坊するのは珍しい。

「いや、ごめん、無理……頭痛い……体……揺すらないで……吐く……」

寝返りを打った春ちゃんの顔色があんまり良くない。心配して、今度は優に助けを求めた。

「え! ごめんね!! ……優、春ちゃん吐きそうだって!!風邪?」

優が水を持って寝室へやって来る。サイドテーブルにコップを置くと、軽く春ちゃんの顔をのぞき込む。

「違う、昨日飲みすぎただけだ。二日酔い。大丈夫か?」

「うー……飲ませたの誰だよ〜……頭痛い……」

春ちゃんは起き上がると、寝癖を付けたまま水を飲んで、また寝てしまった。

「飲みたがったのは春斗だろ」

昨日の夜、2人で飲んでいたみたいだった。
朝起きた時、3人でベッドに横になっていたけれど、リビングにお酒の缶が置いてあったのだ。

「……っていうか、風邪引く予定だったのは咲だよ」

肩まで布団をかぶりながら、春ちゃんが呟く。

「えー??」

突然のとばっちりに目を丸くした。

「昨日、ソファーで寝落ちしたの、覚えてないか?」

「んー……?」

優に聞かれて、ピンと来なくて首を傾げる。
すると、今度は春ちゃんがちょっとだけ笑いながら言う。

「風邪引いたら元旦から病院行きだって言ったのに無視して寝てたのだれだっけ〜?」

そう言われたら、なんか昨日2人に起こされた気もするけれど……。
元旦から病院だなんて、新年の幕開けとしてはへっぽこだ。

「……風邪ひかなくてよかった」

心底ほっとして、ため息をつく。
春ちゃんはその様子を見ながら言った。

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