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龍と鳳

第2章 花火フラグ

今日は夕方から◇◇で大きな花火大会があるらしい。

珍しく智君と仕事上がりの時間が近かったから、待ち合わせをして一緒に見ようと思えば見られるんだけど。
まぁ、俺たちが現地へ行くのはちょっと難しいかな。

昨年、ツアーの前に新幹線を止める騒ぎを起こしたことは、事務所のお偉いさんにはキョーレツな印象を残したようで。
あれから俺達はがっつりとお説教をされた。

挙句、プライベートでの二人の外出は20周年ツアーが無事終わるまで控える、という念書まで書かされてしまっている。

マネージャーの目をかいくぐって出掛けることも出来るけど……後でマネージャー君が叱られるのもかわいそうだ。

智君もあの一件では危うくライブが出来なくなる所だった、って凄く反省していたし、またとんでもない事件に巻き込まれてしまったら、沢山の関係者に迷惑がかかることになる。

今年のライブは前回のツアーとは意味合いが違う。
ちょっとでもほじくるネタがあれば、また面白おかしく無いこと無いこと書かれるのは目に見えてるから、何事にも慎重すぎる程慎重に行動するのが正解だろう。

俺は、この間のやりとりを思い出して一人ニヤけた。

「懐かしいねぇ
思い出すなぁ…」

冠番組の収録の時に、楽屋の壁に貼ってあった花火大会のチラシを見て、貴方が誰に言うともなく口にした一言。
斜め後ろから見た頬の丸い曲線が、微笑んでることを教えてくれてて。

「そうだねぇ」

って、新聞越しに俺が言ったら、ニノと相葉君と松本の三人が一斉に歌い出した。

「よーえーびっしーーん」

「You’re every thing~~ 」

「あーなたが~おもーうよーりつよーくぅ~」

すかさず乗っかった貴方が大真面目な顔を作って俺を見つめて。

「…翔君」

「…智君」

当然、俺も乗っかって立ち上がる(笑)。

二人して3人の歌をBGMにスローモーションの動きで駆け寄り、大げさに感激してる顔を作ってぎゅうっとハグをした。

「いよぉっ、お二人さんっ」

「流石年中発情期」

「ほんとにアナタ達って見境ないよね」

仕掛けてきたくせに面白がってヤジを飛ばす3人に冷やかされながら、貴方が俺の耳元で、可愛く「んふふっ」と笑った。

「翔君、大好き
ずっと一緒にいようね」

思い出すだけで顔がデレてくる。



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