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あそこがむずむずして…

第1章 言わなきゃダメですか?

トイレから出てきたとこで、
先輩に腕を引かれ、応接室に引き込まれた。
カチッ。
先輩が応接室の鍵を閉めた。

「おい! 深瀬!
お前今日変だぞ。朝からソワソワして。
何かあったのか?」

「あぁ、急に引っ張られるから、
びっくりしました、先輩かぁ。
本当に大丈夫です。仕事に戻ります。」

「いや、そんなはずないよな!
朝からずっともじもじしてるじゃないか。
毎日お前のこと、隣の席で見ている俺が、
気づかないとでも思っているのか?
話してみろよ!」

「いえ…あの…
先輩、それじゃあ、
今日、仕事がひと段落したら、
病院行ってきてもいいですか?」

「やっぱりどこか悪いんじゃないか。
どこが悪いんだ?俺には言っとけ。
何かあったらフォローしなきゃいけないしな。
こういう報告も、仕事をする上では大事なことだ!」

「理由、どうしても、言わなきゃダメですか?
本当に言いにくいんですけど…」

「大丈夫。俺、口は堅いから。
口外はしない。
ただ、お前のことはきちんと把握しとかないと、
何かあった時にフォローできないからな!」

「あの…朝から…あそこが…
変なんです」

「ん?
あそこってどこだ?
どこがへんだって?」

「いや、あの。
あそこが」

「おい!
はっきり言えよ!
こんなことも出来ないのか?
報告っていうのはな、相手にわかるようにするもんだ!」

「…
…あの。
…お、
…お、」

「あぁ、なんだ?」

「…お、
…おま、
…おまんこが…」

「え?
聞こえないぞ!
おまんこがどうしたって?

…!!
え?
おまんこ?」

先輩はそういうと、顔を真っ赤にして私を見た。
腰をかがめて、私の両肩をガシッと掴んで。
恥ずかしくてたまらないのに、目を逸らさずに。
そしてそのまま、
目を見たまんま、
「深瀬。
おまんこが、どうしたんだ?」
って。

「や。
宮下先輩。
ひどい。
これ以上言わさないでください。」

そう言い放って、私は応接室を飛び出して、デスクに戻った。

しばらくすると静かに、先輩が隣の席に戻ってきた。
「深瀬、その仕事、俺がやっとくから、
今から病院行ってこい。
病院終わったら、今日はそのまま帰っていいぞ。
ゆっくりしとけ。」

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