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仔犬のすてっぷ

第21章 奈落の裏では


「………他にも何人か、ヤバそうな連中を雇ってる様ですが……特にマズイのはコイツかと」

タブレットに表示された人物を見た森川店長は、露骨に顔を顰めて呟いた。



「霧夜…薩麻………殺人で指名手配されてる奴がいるじゃねえか!やり方や腕はそんなに良く無いからサツにバレた奴で……こういう奴が、一番タチが悪い」


「・・・なんにしても……ちょっとウチも全力で行かないと、返り討ちに合いますね」

「いいわ。私が責任を取ります。
 “Waltz” の発動を許可します。全力で叩き潰してやりなさい」

カリームの話を受けて、幸はオーナーとしての権限を発動した。


「やった♪全力で闘えるの、久しぶりだ」

 アキラが嬉々とした顔でバシン!と両手を叩き合わせる。


「アキラ…オマエ、普段抑制が強い分、枷が外れると怖いからなあ・・・間違って殺さないように気をつけろよ?」

「そう言う潤こそ……素になると危険度はドモ○と変わらなくなるからね……«爆裂»だけは使うなよ?」

「二人とも……嬉しそうに言ってますけど・・・あくまで、人質救出が最優先ですからね?
武器が使えるからって、張り切りすぎないで下さいよ?」

「一番見た目のギャップと使う武器が怖いカリームに言われちゃ、立つ瀬が無いな。ちゃんと刃を殺してある方を使わないと、人体真っ二つ…なんて、幸は責任取れないからな?」

「それは大丈夫です。……まあ、刃が付いてるのも予備で用意していきますけど、使う事は無いかと・・・」


「……コイツ等と…行くの、なんか、ヤダな〜…俺、武器は使わないからさ〜…(汗)」

「…何言ってやがる。特注の安全靴でフルパワーの蒼空に蹴り飛ばされる方の身になってみやがれ!
練習組手の時にプロテクターの上から受けたけどさ、ありゃあ鉄骨で殴られるのと変わんねえんだからな?!」



・・・お気付きの方も多いかと思いますが、彼等は自分達がとても物騒な会話をしているという事に、全く気が付いておりません。

ミイラ取りがミイラになる…なんて事にならなきゃいいんですが、ね(苦笑)



 

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